講演会のご報告『R7年度創業機運醸成事業講演会』10/5(日)
皆さま、こんにちは。
10月5日(日)午後2時00分~3時45分まで、すわっチャオの会議室にて「令和7年度 創業機運醸成事業講演会」を開催しました。
諏訪商工会議所と諏訪市が主催、当施設が毎年企画している講演会です。
これまで講師はお一人、約90分ご講演いただくというスタイルでしたが、今回は4月の時点で「お二人」に打診をしていました。
お一人は、以前にも講演を聴きに行ったことのある「株式会社エイトピークス(茅野市)」の代表/齋藤 由馬様。
淡々飄々といった雰囲気をお持ちながら、とても熱い情熱と人情、そして強い正義感が感じられ、またキレのあるトークと澄み切ったお心が印象的でした。特に創業時の大変な時期のお話を包み隠さずオープンにお話しくださり、その内容には衝撃を受けたものです。
その時から「いつか講師としてお呼びしたい」と目論んでいました。
そしてもうお一人は、以前お仕事でお世話になった「MHaudio(エムエイチオーディオ)(富士見町)」の代表/星野 まさる様。
個人で手作りのスピーカーやアンプを制作されているのですが、その澄んだ音と空間への広がりは、データ音源をもライブに変えてしまいます。
もちろん仕事への姿勢は真摯そのもの。デザインセンスも抜群で、作るもの、発信するものに一切妥協を許さない厳しさをお持ちですが、それ以上の謙虚さと絶対的な信頼性をお持ちの方です。
お二人とも元は諏訪地域外の方ですが、今や諏訪のモノづくりを世界へ発信する、それぞれの分野を代表する「匠」。
講師の打診後、すぐに「私でよろしければ、喜んでお引き受けします」とお返事をくださったお二人。贅沢にもお一人@30~40分にぎっしりとお話を詰めていただくことにしました。
【第1部】株式会社エイトピークス/齋藤 由馬さま
タイトル
『ビールを醸造して地域文化を醸成する─起業からまちづくりに貢献する』
各地で講演を引き受けることが多い齋藤様。
当日も「ノー原稿」で、立ったままマイクでご講演くださいました。
今後、どこかで齋藤さまの講演をお聴きになる方もいらっしゃると思いますので、印象に残った箇所と中心とした感想を述べさせていただきます。
今でこそ歴史あるホップの生産地であったこの地で、立派な社屋工場のもと地ビールの醸造・販売をされている齋藤様ですが、実は7年程前にもお会いしたことがあります。
その頃の名刺には役職の部分に「茅野人(チノジン)」とあり、「これから茅野でビールを作ろうと思っています!」と初々しさを残す若い青年でした。
「茅野でビール!?難しいでしょう…」そう感じた地元民は少なくなかったと思います。自分もその一人でした。だからこそ今、そこかしこで目にする「エイトピークス」のブランドに、思わず心が熱くなります。
そして、齋藤様こそ「醸成されている方」だと思いました。
切り花農家の跡継ぎとして生まれ、現在は八ヶ岳山麓で地ビールの会社を経営されています。
結果的に「家業を継がなかった」と感じる方もいるかもしれませんが、なぜ「ホップ」だったのか、「ビール」になったのか。その根底には「花農家の息子としてのアイデンティティ」が常に流れています。
農家という環境で育ち、工業系の学問を経て、大企業での生産技術開発を通じた漢方薬の深い知識を習得し、そして「人の役に立ちたい」という想いから、現在に至っている─。
経験した悔しさも苦い思い出もすべてが醸造された、味わい深い生き方を齋藤様から感じます。
どうやってもシーンと静まり返ってしまう講演会という場でも、淡々と笑いを取ってしまう話術は天性でしょうか?
「もう終わり!?」と残念がられるほどの盛り上がりを作ってくださり、また、「人生」をお話くださり、本当にありがとうございました!!
今後とも応援させていただきたいと思います。
『株式会社エイトピークス』
ホームページ
https://eightpeaks.co.jp
【第2部】MHaudio/星野 まさる様
タイトル
『趣味が仕事になるか!? MHaudioのキセキ』
百聞は一見に如かず、まずスピーカーの視聴からスタートさせてくださった星野さま。
ジャンルの異なる4種類ほどの音源…息づかいまで聞こえるような歌声、チェロの弦が弾かれる際のわずかな音の響き、歓声と拍手。目を閉じればそこに「演奏者」がいるようです。
すっかり聴き惚れてしまった様子の会場内。
後日、参加者が家族やご友人に「いかにすごい音だったか」を伝えようとしても、うまくいかなかったとのこと。
星野さんがお話の中で仰っていた、「実際に音を聴いてもらわないことには理解してもらえない」を実感したのでした。
「僕は齋藤さんみたいに真面目でしっかりもしてないから、だいぶ反対だと思いますので、すいません。気楽に聞いてください」
その言葉に、傍らで大きく手と首を振る齋藤さん。
1時間前に会ったばかりのお二人。ご挨拶からとても楽しそうだったお二人のやり取りからの流れにホッコリする場面でした。
星野さんの講演はとても稀です。が、依頼を受け内容を組み立ててくださり、慣れた様子で流れるようにお話くださいました。ここでも印象に残った感想を記します。
タイトルにもある「趣味が仕事になる」ということ。
『羨ましい』という意味でよく言われるそうですが、内心「そんなことはないぞ…」と思っていること。
「趣味は〔自己満足〕だけど、商売は〔お客様満足〕。趣味なら自分の好きにいじくり回せるし、まったく同じものを2つ作らなくていい。
でも『仕事』って、同じコトやモノを繰り返すこと。
だから「趣味が商売になっていいね」ってこと、実際ないんじゃないかな…」
ぼんやりと思っていたものの、当事者がシンプルな表現でサラッとお話すると何という説得力でしょうか。
「だから商売としては〔覚悟と責任〕が、商品としては〔長期的な価値〕が必要」
大量生産や目新しい商品が溢れかえる業界の中で、明確なポジションを獲得されている星野さん。それは、創業時に製作した商品が今でもメイン商品であることが証明しています。
「モデルチェンジはしない。それがベストなものなら、必要ないから」
そして「音楽を聴く人は、音が聴きたい。好きな曲やアーティストと向き合いたいのだから、音が出た瞬間、スピーカーは “なくていいもの ”になる。要は単なる〔道具〕になる」
自分の製作する唯一無二の商品が世に認められて、さらに高い評価を得ていれば「このスピーカーすごいだろう!」と言いたくなると思います。
が、星野さんは「単なる道具」(=主人公は音楽を楽しんで聴く方)だと仰います。
その時、齋藤さんの言葉を思い出しました。
「この諏訪地域の風土や気候、食べ物に合うビールを作って、皆さんの生活が明るく楽しくなるような、そんなライフスタイルを提供したい」
星野さんも「音楽を聴くのが好きな方が、楽しめるように」と、全力で人生の時間を注ぎ、一つずつ手作りで製品を作っています。
このお二人の根底に流れるものが「とても似ている」と感じました。
お二人もまた、お互いに尊敬できる部分、そして共通しているものを感じ、距離を縮められたのかもしれません。
売り込みも宣伝もネット販売もしていない星野さんのスピーカーは、ホームページに取り扱い店舗が掲載されています。
諏訪地域では、諏訪ガラスの里にある【SUWAプレミアムショップ】で視聴可能です!
『MHaudio(エムエイチオーディオ)』
ホームページ
https://www.mh-audio.com/
終了後に「楽しかった」「面白かった」「勇気を出して申し込んで本当に良かった」「あのオーディオ、欲しいんですけど」…と笑顔で話してくださる参加者の皆さん、こちらこそ感謝でいっぱいです。ありがとうございました。
また、撤収作業に入った際にオーディオを片づけながら「ちょっと齋藤さん、もう少し話そうよ」と声をかける星野さん。「はい!ぜひ!」とお話が止まらない齋藤さん。
参加者の皆さま方を含め、新たな出会いの機会になったことは主催としてこれ以上の喜びはありません。
齋藤さん、星野さん、ご参加くださった皆さん、本当にありがとうございました!